ゴジラと伊福部音楽――「真にグローバルたらんとすれば真にローカルであることだ」

先日5月16日、ギャレス・エドワーズ監督によるリブート版「ゴジラ」が、全米で公開されました。今回の映画で使われているかどうかは残念ながら分かりませんが、ゴジラと言って思い出すのは、一度聴いたら忘れられないあのテーマ曲ではないでしょうか。

その「ゴジラのテーマ」で有名な作曲家の伊福部昭さんは、今年2014年に生誕100周年を迎えるそうで、記念として全国のプロオケを中心に多く伊福部作品が取り上げられるようです。

今朝もNHK-FMで、吹奏楽による伊福部昭作品が取り上げられていました。ゴジラリブートフィルムの公開に、伊福部生誕100周年と、今年はゴジラ・伊福部イヤーになりそうです。

北海道の農村で、警察官僚の息子として生まれた伊福部さんは、そこでアイヌの人々の生活や文化に触れて、影響を受けたと言われています。シンプルなモチー フやリズムを執拗に繰り返し、3度や6度のハーモニーを避けて、西洋の伝統で禁則と言われているや5度や8度の和声進行を積極的に使った曲たちからは、ど こか土のにおいがする、民族的な響きを感じられます。

北海道の雄大な自然に囲まれながら、独学で作曲を学び、大学卒業後、21歳になった伊福部青年は、パリで開催されるコンクール「アレクサンドル・チェレプ ニン賞」に自らの作品を応募します。ところが日本からの応募を取りまとめていた東京事務局の楽壇権威の中には、伊福部さんの楽譜を見て「西洋音楽の伝統か ら外れた伊福部作品を日本の代表としてパリに送ることは恥になるから、伊福部の曲を応募から外そう」と画策した者が居たそうです。

結局事なきを得てパリに送られることになりましたが、その応募作『日本狂詩曲』第1楽章「じょんがら舞曲」は、見事1位を獲得し、世界的に高い評価を得ます。

「真にグローバルたらんとすれば真にローカルであることだ」――伊福部さんの音楽は、まさに伊福部さんの生き方や信念の結集であり、それを世界の舞台で自ら証明したのでした。

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