楽器の演奏と弓道の共通点

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NHK「アスリートの魂」で、弓道の増渕敦人選手が取り上げられていました。

98.8%ーー無類の的中率を誇った増渕さんは、29歳のとき、史上最年少で弓道の最高峰天皇杯で優勝します。しかし、その翌年の天皇杯で惨敗を喫しま す。審査員は、増渕さんの弓道を「パチンコ弓道」と酷評したそうです。ただ的に当てるのが上手いだけ……その悔しさから、自分の弓道と向き合う、増渕さん の長い挑戦が始まりました。

弓道には「正射正中」という概念があるそうです。正しい型で正しく弓を射れば、的中するという考え方です。的中は、ただ的に当てるだけでなく、それが正しい型と精神で、自ずとなされたものでなければならないのです。

んー奥が深い……しかしよく考えれば、楽器の演奏にもそのまま当てはめられることでした。

 

●楽器の演奏も「正射正中」

よく指導者は、合奏でこういう指示をしますーー「音程が悪い、ピッチを合わせろ」。怖い先生にガミガミ怒られた経験のある人も多いと思います。

しかしこれは根本から発想が間違っているのです。音程が合わないのは、多くの場合、楽器やフレーズの演奏法に問題があるからです。

例えば室温や湿度に合ったチューニングがされていなかったり、その音を吹くのに正しいアンブシュアが出来ていない、あるいはフレーズに合ったブレスが出来 ていない、正しいダイナミクスで吹いていない、曲想に合わない吹き方をしている……などなど。そもそも楽器が調整不足で壊れているのかもしれません。

正しい音程できれいにフレーズを揃えるなら、まず楽器のコンディションを環境に合わせて整え、作曲者の意図を充分理解し、フレーズに合わせた適切なブレス と音量で演奏することを考えないといけません。誤ってフォルテで吹いていたフレーズを、楽譜に沿ってメゾフォルテにしただけで音程が合ったなどということ も良くある話です。

音程合わせも弓道と同じ「正奏正中」です。指導者は怒りに任せて生徒を叱りつける前に、正しい演奏のしかたを伝えましょう。

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