スコアライティングに用いるノーテーションソフト――いわゆる製譜ソフトは、FinaleやSiberiusを始め、さまざまなソフトウェアが存在しますが、最近僕はNotion 6を使っています。
Notion 6はFinaleやSiberiusに比べると機能は限られますが、それでもよほど複雑な譜面を作成することがなければおよそ不便はなく、バンド譜からオーケストラまで幅広い種類のスコアを仕上げることができます。またReWireでDAWと連帯させて使ったり、Studio Oneとシームレスに作業を行えるなど、DAWによる音源制作に慣れている人は特に使い勝手が良いノーテーションソフトと言えます。
ここまで使ってきた所感を簡単にまとめたいと思います。
Good
プレイバックに強い
Notion 6はプレイバック用サンプルに、ロンドン交響楽団、Soundiron等の音源を収録しており、ノーテーションソフトとしては高品質なプレイバックが出来るため、DAWと連帯して使えば、スコアから音源の制作に直結させることも出来ます。またPresonusのライブラリから、各種セクション音色等の拡張音源を購入することもできます。
以下、拙作”Awakening”の音源ですが、一部金管楽器(Tp./Trb./F.Hr.)を除いて、すべてNotion 6を用いています。
高品質なデモンストレーション音源の作成は、楽曲のイメージを伝えるのに有効な手段の一つと言えます。
手書きに対応
Notiion 6は、MyScript™ テクノロジーを採用したクロスプラットフォームの手書き認識機能を備えています。マウスやキーボードによるノーテーションではなく、紙面での手書きに慣れたコンポーザーは、タッチスクリーンを持った各種デバイスでNotion 6を使えば、浄書をしながらスコアを書き上げることができます。
Bad
組段の調整がしづらい
Notion 6は、スコアの組段調整がしづらいです。特に総譜の場合、3~5パートの小規模なスコアであれば、「フルスコアオプション」から記譜サイズや譜表間隔を調節することにより、段組みの見栄えを適切にすることはできますが、パートが多い大規模なスコア――オーケストラや吹奏楽など――のフルスコアになると、パートごとに調整する必要があります。そうしないとページごとに組段間隔がばらばらになり、ページを見開きにしたとき非常にスコアの見栄えが悪くなるからです。
組段を調節するためには、ツールバーの「表示」から「レイアウトバンドルを表示」を選択、パート名の左側に表示される「□」をドラッグ&ドロップし、手作業で間隔を整えていく必要があります。この点について、例えばSiberiusであればマグネティックレイアウト機能により、5線ごとの間隔も自動的に美しく整えることが可能です。組段の調整は、今後Notionにも改善を期待したいなと思う点の1つです。
シェアが少ない
ノーテーションソフトのシェアは、依然FinaleやSiberiusのシェアが優位です。出版社などでは一般的にFinaleの(.musx形式)もしくはmusicXMLが求められることが多いため、Notion 6形式でスコアを提出できる場合はほとんどありません。もちろん、Notion 6にはmusicXML形式でのエクスポート機能が備わっていますが、その際にはデザイン崩れなどを起こさないよう細心の注意が必要になります。